イスカの特徴は何といっても「くちばしのくい違い」でしょう。くちばしが揃わずにくい違っていて曲がっています。これは、
食料であるマツカサの実を取り出すのに適した形状に進化した、と考えられています。生まれたてのヒナのくちばしは真っ直ぐで、
少し食べられるようになってからだんだんと曲がってゆきます。
イスカの分布は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカの針葉樹林帯で、一般的に、日本では冬鳥として渡来しますが、イスカの渡り
は年により不規則で、きまりきった渡りをしないとされています。渡りの場所や食料事情で適所に移動しているだけなのでしょう。
日本でも一部、北海道や中部山岳などでは局地的に繁殖しており、冬になると山麓や暖地に移動するようであります。
雄は、身体全体に赤褐色をおびて翼と尾は黒っぽい褐色をしています。雌は(雄の赤褐色の部分が)全体に暗い緑色をしています。
幼鳥は雌に似ていますが、雌よりさらに淡い色合いで黒い従斑が明瞭です。
余談ですが、イスカは、一年中繁殖できるようです。ほとんどの野鳥は繁殖時期が決まっている中で、イスカの繁殖形態は異色と
いえます。冬場もエサ(針葉樹の実など)が豊富にあることも大きな要因なのでしょう。
(文:大関豊)