349. アリスイ(キツツキ目キツツキ科)

アリスイ(写真:大関豊)


アリスイの後姿(写真:大関豊)
アリスイはキツツキ科に属していますが、他のキツツキたちとは異なった点がありキツツキの中では変わり者です。
他のキツツキ類と違うところですが、まず角型の尾をしています。ほとんど木に登らず尾も支えにしません。一般の鳥のように 横枝に止まることが多く、くちばしも木を削るほど頑丈ではなく、しかも、キツツキ科では例外的に渡りをします。

分布域は、ヨーロッパのほぼ全域とアジア北部の大部分、東は沿海州から日本まで広範囲です。日本では主に北海道(一部で東北地方でも) で繁殖しますが、秋冬になりますと暖地方に南下して越冬します。

全長はおよそ17センチ、羽は独特の斑点斑紋模様をしており樹皮模様そっくりで木に取り付

きますと同化してまったく見分けがつかなくなります。胸・腹部は明るい褐色縞模様で頭上から背にかけての中央に黒い線が目立ちます。

アリスイは、文字どおりアリが好物で樹上や地上でアリを食べます。くちばしも丈夫でないので自分では巣穴をほらず、すでにある 穴を利用します。気にいった穴があると先住者(例えばシジュウカラなど)が居ても占領してしまいます。

余談ですが・・、アリスイで特筆すべきは、危険が迫ったときの行動(というか動作)で、きわめておかしな動きをします。首を伸ばし、左右に振ったり くねくねと捻じ曲げて、まるでヘビのような動きをします。目を半ば閉じて毛も逆立てて、どうかなってしまったのではないか・・という 思わせるほど異常な動作をします。この動きを見たら外敵も普通はビックリして退散するでしょうね、きっと。私がこの動作を最初 に見たのはバンディングのお手伝いをしたときでした。捕獲された袋をそっと開けて覗いて見たらクネクネと首が伸びてきて・・ ほんとにビックリしました。思わず袋を落としてしまいそうになりました。(笑)
(文:大関豊)

漂鳥(安曇野:渡り通過時に見られます)
L17.5cm、
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