051. サンカノゴイ(コウノトリ目サギ科)

保護されたサンカノゴイ(写真:植松晃岳)


サンカノゴイの威嚇(写真:植松晃岳)
サンカノゴイは、全長約75センチ、体重約1〜1.4キロもある大型のサギです。
全体の羽色は錆色がかったむぎわら色で黒褐色の縞模様と雑多な斑で占められています。普段は縮めていますが伸ばすと長い首には 黒い縦筋があり、くちばしは太くて長く先が尖っています。虹彩(眼の色)は黄色で足は緑色です。

生息分布は、ヨーロッパから日本(主に北海道)にいたるユーラシア大陸の温帯と亜寒帯、およびアフリカで繁殖します。 ヨーロッパの南部など一部は留鳥ですが、北のものは渡りをします。
日本では、北海道の北部では夏でもいますが、本州以南では冬鳥です。ただ、千葉県印旛沼などのように局所的に繁殖している場所 もみられます。

生息場所は沼や沢地の近辺でヨシゴイなどと同様に、ほとんどの場合ヨシ原の中に棲んでいます。 食性は完全に動物食で、小さな魚、カエル、イモリなどの水生生物、水生昆虫や幼虫をよく食べます。ときにヘビや小型の哺乳類や 野鳥のヒナなども食べるようです。
習性は夜行性で飛びながらカラスに良く似た「ガァーッ」というしゃがれた声をだします。繁殖期には「ブーゥ、ブーゥ」と低いが よく通る声を響かせます。この声は、だいたい5〜6回で、静かな時は2、3キロ先まで聞こえると言う話です。

ミゾゴイやヨシゴイと同様に、サンカノゴイも「擬態(自然物に化けること)」をします。危険を感じるとすっくと立ち上がり 首をまっすぐに伸ばし、くちばしを空に一直線に向け、そのまま、びくりともせず静止します(写真参照)。その姿は、ちょうど枯れたヨシの 茎のように見えて周囲の景色に紛れさせて外敵の目から欺きます。この行動は、ヒナのうちから身について いて何か危険がせまると親鳥と同様にじっと静止して危険を回避します。

安曇野での記録は、2007年11月に右足指を骨折した個体が保護された・・のが初記録となります。県内では1953年2月 白馬村、1990年8月佐久市での記録があります。
(文:大関豊)
冬鳥(安曇野:迷鳥として2007年11月松本市で保護されました)
L約75cm、
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