[被弾したオオタカ死する]−2003/02/14報−

2月2日に発見された被弾オオタカは手当ての甲斐もなく2月14日未明死亡した。 冥福を祈るとともに、このようなことは2度と起きないことを切望する。



[被弾して翼を切断したオオタカ]−2003/02/06報−

写真(スナフキン、2003年2月5日)
オオタカ
骨折と壊死の為やむなく切断した左の翼

左の翼を失ったオオタカの若鳥→→→
オオタカ

(経緯)
2月2日長野県松本市の寿豊丘のYさんが、庭で衰弱しているオオタカを保護する。 翌2月3日、松本市のアルプス公園・小鳥と小動物の森管理事務所に持ち込む。 しかし骨折していたため職員は豊科町の「どうぶつの病院」に持ち込み診察を受ける。 望月明義獣医師がレントゲン撮影したところ、右胸皮下に空気銃の銃弾が写っており、 また左上腕骨が骨折し、その周辺が壊死しており治療は困難だった。そのために根元から 左の翼をすると同時に弾を摘出した。
(対応)
同医師は直ちに県の林務課に連絡した。しかしその対応は、保護された場所の周辺の猟友会 を指導すればいい(連絡を受けた直後の係長と相談した職員の談話)程度の認識に過ぎなかった。 本来は鳥獣保護法違反なのだから直ちに警察に連絡するなど、適切な処置をするべきであった。 しかし、確認作業に手間取ることを理由に適切な処置をせず、結局警察への通報は遅れた。
(オオタカの状況)
保護されたオオタカは前年生まれの若鳥で体重700グラム。しかし肉はついておらず、しばらくの 間、餌はとっていないと推測された。なお骨折部分が壊死していたこと、弾の周囲に血腫ができていたことから 骨折と発砲による傷は同時期(約1週間前)で、被弾したあと木にぶつかり骨折したと推察された。 なお明らかに何者かが故意に狙ったと云える。
(関連する法律)
鳥獣保護法
銃砲刀剣類所持等取締法
種の保存法、など
(問題点)
1.絶滅危惧種であるのにもかかわらず、密猟目的で撃ち、結果として翼を切断した、このオオタカは 野生に戻ることも自分で餌をとることもできない。この後はどこかで飼い、世話をしなければならない。
2.長野県におけるオオタカの密猟は1996年の11月26日の南安曇郡堀金村国営アルプスあづみの公園計画地 内で見つかった散弾銃によるオオタカの射殺体、1999年9月18日の東筑摩郡明科町犀川で見つかったオオタカ 捕獲罠に次ぐもので、再発していることから県の密猟対策は十分なものとはいえない。
3.密猟の理由は、剥製にして高額で売る、個人的に飾る、殺傷すること自体を楽しみにする、などが考えられる。
(これからの対応)
1.県は猟友会やハンターに対してさらに厳しく指導するべきであり、このようなことは2度と起こさない ように具体的にかつ実効的な施策をとるべきである。
2.警察は捜査を徹底して行い、犯人を検挙すべきである。これまでの2度とも事件は未解決に終わっている。
3.自然保護団体も行政と協力して密猟対策を検討する。

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植松晃岳
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